花の名は、ダリア
ソージは自らの苦悩も忘れ、不安に顔を曇らせた。
ナニイッテンノ?
ナニヤッテンノ?
この人、頭オカシィの?
すぐさま医者に連れてくべき?
一時的錯乱かも知れないから、しばらくそっとしとくべき?
まだ舐めてやがるよ。
ペロペロ
「んー… あらら大変。
捕まっちゃったわ。
どうやらそのコ、追われて走ってたのね。」
ナニイッテンノ!?
そっとしとけねェェェェェ!!??
「誰に捕まったンでゲホゲハっ!?」
慌てすぎて噎せたよ。
血まで吐き散らかしたよ。
「アウトローな感じの男の人たちよ。
ソージも大変。大丈夫?」
いつものようにソージの背を撫でようと、ダリアが手を伸ばす。
だが今夜は、優しい介抱に身を委ねている場合じゃない。
ソージは近づいてくる細い手首を掴んで引き寄せ、体勢を崩して前のめりになったダリアの瞳を覗き込んだ。
「どうしてそんなコトがわかるンです?」
「血が教えてくれるの。
私、人の身体を離れて流れ出た時の、血の記憶が読めるのよ。」