花の名は、ダリア
…
…
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盗難デスカ?
「いや…
ソレ、見つかったらフツーにアウトですよネ?」
「平気よ。
見つかったら、血を吸って記憶を奪えば」
「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
カオリはダリアの小さな顔を鷲掴むようにして、口を塞いだ。
ほぼアイアンクローじゃねぇか。
言われた通り大人しく黙っているタナカをチラリと一瞥して、モゴモゴ呻くダリアの耳に唇を寄せて、カオリは囁く。
「迂闊なコト言わないでくださいよ。
人類は今、あなた方の存在を知るべきではないンです。」
「電波団長…
船でドコ行く気だ?」
カオリの囁きが聞こえていた様子のソージが、ダリアの腰に腕を回してアイアンクローから救助しながら訊ねた。
彼の眼差しは刺すように鋭い。
「みんなで帰るンです。
私たちが居るべき場所に。」
それに劣らぬ強い眼差しで、カオリはソージを見つめ返す。
すると…
ソージがフワリと笑った。