花の名は、ダリア







盗難デスカ?


「いや…
ソレ、見つかったらフツーにアウトですよネ?」


「平気よ。
見つかったら、血を吸って記憶を奪えば」


「ちょっと待ったぁぁぁ!!」


カオリはダリアの小さな顔を鷲掴むようにして、口を塞いだ。

ほぼアイアンクローじゃねぇか。

言われた通り大人しく黙っているタナカをチラリと一瞥して、モゴモゴ呻くダリアの耳に唇を寄せて、カオリは囁く。


「迂闊なコト言わないでくださいよ。
人類は今、あなた方の存在を知るべきではないンです。」


「電波団長…
船でドコ行く気だ?」


カオリの囁きが聞こえていた様子のソージが、ダリアの腰に腕を回してアイアンクローから救助しながら訊ねた。

彼の眼差しは刺すように鋭い。


「みんなで帰るンです。
私たちが居るべき場所に。」


それに劣らぬ強い眼差しで、カオリはソージを見つめ返す。

すると…

ソージがフワリと笑った。

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