花の名は、ダリア

血の記憶が読める

確かにダリアはそう言った。

あり得ない。
バカげてる。

だが、目の前でしゃがみこむ彼女の表情に嘘はない。

コッチも見てみるからちょっと待ってね、なんて言って、ダリアは草履の裏まで舐める。

ペロペロ
ムニュムニュ


「……見つけた。」


ぺールブルーの瞳を物騒に輝かせて、ダリアは呟いた。

だが、それも一瞬のこと。

再びソージを見据えた彼女は、いつも通りのあどけない微笑みを浮かべて言った。


「どうやらそのコ、見ちゃいけないモノを見ちゃったみたいね。
だから連れてかれたンだわ。
その場で殺さなかったってコトは、餌にするつもりなのよ。」


あり得ない。
バカげてる。


「でも、きっとまだ生きてる。
随分たくさんの餌がストックされてる様子だし。」


アリエナイ。
バカゲテル。

でも…

もしも本当なら?

彼女の言ったコトが、全て事実だとしたら?

彼女は…

ダリアはいったい…?

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