花の名は、ダリア
「サムったら、やっぱり嘘つきね。」
「え… ナニが…」
意外すぎる反応に面食らうサムに、ダリアが言う。
「『私はあなたと共にいる
あなたを見放すことも見捨てることもない』
知ってる?
聖書に記されてる、神様の言葉よ。」
夢見るような口調で。
大切な秘密を明かすように。
「ソージはね?
永遠に私の傍にいるって、言ってくれたの。
同じ『貴族』であるサムが、私から遠く離れて生きてたって知っても、自分は離れないって。
私を手放さないって、言ってくれたの。
もうわかるでしょう?
ソージってば、実は神様だったのよ!」
なんてとんでもない勘違い。
サムがポカンと口を開けて固まる。
「だからね?
ソージが私を置いていくワケないの。
私を一人にするワケないの。
そもそも、神様が死ぬなんて間違ってるし、神様が消えた世界なんてニセモノよね?」
なんて…
それは、なんて不吉な…
ある可能性に辿り着いたサムが、ポカンと口を開けたまま青ざめていく。
「『ノエル』、君は…
その間違いを正すつもりなの?
君の言う『神が消えた偽物の世界』を滅ぼす、悪魔になってしまうの…?」