花の名は、ダリア
ギロチンで落ちた首からでも。
焼かれずに済んだ身体からでも。
ヴァンパイアは蘇る。
なら、多少時間はかかっても、手首から先なんて一部分からでも生えてくンだろ。
ニョキニョキと。
実際、漏れ出した光に気づいてから焼け落ちるまでの一瞬に、そんなコトを考えて行動したワケではない。
ソージを動かしたのは、本能。
ただソレのみ。
「そう…
そうだったンだ…」
コトの経緯を理解しているサムは、ゴールデンブロンドを揺らして深く頷いた。
「そうだったの。
よくわかんないケド、つまりソージは海で泳いでいたのね。」
コトの経緯を理解していないダリアは、ペールブロンドを揺らしてプイとそっぽを向いた。
ヒドいわ、一人で遊んでるなんて
や、俺、結構大変な目に…
でも、泳いでたンでしょう?
…泳いでましたねェ
ヒドいわ、貝殻探してきてやる
ちょ、待って?聞いて?
気が抜けて立ち上がれないサムの前で、ソージとダリアが言い合いを始める。
イベント会場で会った時も、こんなカンジだったな。
なんつーか、二人の世界。
事実、そうなのだ。
片方は狂ったまま、もう片方を愛して。
片方は壊れたまま、もう片方を愛して。
二人だけの世界で生きている。