花の名は、ダリア
ハイ。
ますますワケがわからない。
ダリアは振り返らない。
光の中に佇んだまま、振り返らない。
「…
これで良かったンですか?」
「これで良かったの。
死も生と同様、神の祝福だって言ったでしょう?
サムは私がかけた呪いから、やっと解放されたンだわ。」
「…
貴方は、これで良かったンですか?」
「これで良かったの。
私にはソージがいるもの。」
光をキラキラと乱反射させるペールブロンドを揺らして、やっとダリアは振り返る。
陽に透けて消えてしまいそうな儚さの中で、クッキリと浮かび上がったエクボだけが、彼女の確かな存在をソージに訴えていた。
そうか。
彼女は選んだのだ。
サムの真意を知った上で、それでも彼女は選んだのだ。
俺と生きていくことを。
そして彼女の決断を知ったサムは、死を選んだ。
どんな気持ちだったのだろう。
サムは彼女を愛していた。
全てを捧げ、自らの手を汚すことも厭わないほど、彼女を愛していた。
なのに、そんな彼女を他の男に託し、塵になったサムは‥‥‥