花の名は、ダリア
まぁ、イイか。
絞まろーが折れよーが、死ぬワケじゃなし。
絞殺紛いの抱擁を無抵抗で受け止めて、俺はダリアの髪を指で梳く。
優しく、優しく。
するとほどなくして、首にかかる圧が弱まり、クスクスと愛らしい笑い声が俺の鼓膜を揺らした。
「『人と触れ合って』なんて。
ソージってば、変わったわ。
前は、目も合わせちゃダメって言ってたのに。」
「ある人間と話す機会があって、ちょっとした心境の変化が訪れまして。」
「そうなの?
どんな?」
「美しいモノに目を奪われるのは人の習性だから、それにいちいち目くじらを立てるのもバカバカしいカナ、と。
まぁ、必要以上に近づくヤツは斬りますケド。
後、『人と触れ合う』は、俺が一緒にいる時限定ですケド。」
「あ、制限があるのね。
やっぱり、あんまり変わってないわ。」
当然だろ?
本質は変わらないンだから。
『それでも嬉しいわ
ソージは本当に私の神様だわ』
なんてトンチンカンなコトをのたまって、ダリアは俺の首にグリグリ額を擦りつける。
俺が『神様』だって?
笑っちゃうね。
でも、言い得て妙ってヤツかも知れない。