花の名は、ダリア

だって、俺が貴方に贈る世界は、所詮まやかし。

作り物だ。

檻で囲って。

俺が必要だと思うモノを配置して。
俺が邪魔だと思うモノは排除して。

その中心に貴方を据えて。

貴方は俺という神が創り上げた箱庭で、永遠に咲く花になる。

ますます俺という温室の中でしか生きられない、美しくも脆い花になる。

けれど、嘆くことはない。

貴方は小さな箱庭の中で、ずっと笑っていられるよ。

たとえ箱の外が荒廃し、排除されたモノで死屍累々と埋め尽くされようとも、何も知らずに笑っていられるよ。

貴方が住まう虚構の世界ごと、俺が貴方を守るから。


「ダリア…」


喉に絡む声で名を呼びながら身体を捻り、俺は胸の上に乗っかっていたダリアを組み敷いた。

言うコト言ったし。
彼女も嬉しいって言ってくれたし。

もうイタシちゃってもイイだろ?

白い頬に乱れかかる髪を優しく払って。
視線を合わせたまま距離を詰めて。
キスをねだるように、薄く開いた唇に…


「そんな素敵な提案をしてくれたソージに、ココで残念なお知らせデス。」


「は?」


え?ナニ?

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