花の名は、ダリア
俺は脱力しきってダリアに伸し掛かった。
サムのクソヤロー…
ドコまで俺の邪魔をしやがンだ。
あんな見晴らしのいい、海を一望できる場所に墓を建ててやった俺が、バカだった。
ドッカの公園の、きったねェ公衆便所の隣に建てればよかった。
そして一言、『う○こ』と刻んでやるべきだった…
「新生活はしばらくお預けですね…」
ダリアの肩越しに枕に顔を埋めた俺が、くぐもった声で言う。
するとダリアが、ベッドに沈んだ身体を揺らして笑う。
「うふふ。
お預けなんて平気よ。
いくらだって待てるわ。
だって…」
下唇を突き出したまま顔を横に向けると、同じく横を向いて俺にエクボを見せてくれる貴方。
その微笑みはどこまでも純粋で。
時を重ねれば重ねるほど歪んでいく俺の欲望を清めてくれる。
貴方は俺がいないと枯れてしまう花だけど。
実は俺だって、貴方がいないと‥‥‥
「私たち、死なないもの。」
「‥‥‥‥‥は?」
物思いの淵に沈んでいこうとしていた俺は、ダリアのセリフの続きを聞いて、再びピロートークに相応しくない間抜けな声を上げた。