花の名は、ダリア
「コイツ、ただのバカだ(笑)
やっちまえ!」
「本物だとしても雑魚だ(笑)
コイツ、ただの飼育員だ(笑)
取り囲んでやっちまえ!」
口々に叫んだ男たちが、刀や小太刀を抜いて立ち上がる。
なんという失態。
しくじった上に、まじハズい。
だが、まぁ悪くない展開かも。
てか、そーゆーコトにしといて。
せーの、で斬りかかって来てくれれば…
「やれ!!」
ソージを四方から取り囲んでジリジリ距離を詰めてきていた男たちが、誰かの声を合図に一斉に刀を振りかぶった。
それから先に何が起こったのか…
死んだ男たちはもちろん、唯一生き残った男ですら一生理解できなかっただろう。
正面と右側から迫っていた男たちは、腹を薙いだ一陣の風に命を刈り取られた。
どこからともなく飛んできた小石が額にヒットして出遅れた左側の男は、何かに足を掬われて軌道を変えた、背後にいた男の刃に胸を貫かれた。
味方を刺して動転した男は思わず柄を手離してしまい、丸腰になったところを後ろから地面に叩きつけられ、拘束された。
チョロい。
ソージは腰を落とし、ただ一度、斬撃を繰り出しただけ。
刀を抜けばコチラも抜けるように角帯に差しておいた鞘で、足元の小石を弾いただけ。
同時に、ちょっと左足を横に出しただけ。