花の名は、ダリア

最後に、残った男を背後から蹴り倒して馬乗りになり、首スレスレの位置に切っ先を突き立てれば…


「ハハ、まじチョロい。
思惑通りすぎて逆にビビるわ。
まぁ、ゴロツキなんてこんなモンか?」


ソージは男の背に乗り上げたまま嘲笑した。

すると、キレた男がもがきだす。
だが首に刃をめり込ませると、すぐに大人しくなった。


「おまえ… ナニモンだ?」


組み敷かれた男は、悔しげに唸った。


「飛○御剣流の継承者でこざるよ。オロロ」


「ゾンビの次はソレ!?
なんで嘘ばっかつくの!?」


ソージはまた笑った。
今度は楽しげに笑った。

笑って、咳き込んで、横を向いて血を吐き出して。

それでも楽しげに言う。


「じゃ、まじな話。
俺、労咳なンだよねー。」


「っ!?」


男が息を飲んで硬直した。

誰だって知っている。
労咳は空気感染する死病だ。


「…ソレも嘘なンだろ?」


男は地面に落ちたソージの血を凝視しながら、震える声で呟いた。

< 56 / 501 >

この作品をシェア

pagetop