花の名は、ダリア
最後に、残った男を背後から蹴り倒して馬乗りになり、首スレスレの位置に切っ先を突き立てれば…
「ハハ、まじチョロい。
思惑通りすぎて逆にビビるわ。
まぁ、ゴロツキなんてこんなモンか?」
ソージは男の背に乗り上げたまま嘲笑した。
すると、キレた男がもがきだす。
だが首に刃をめり込ませると、すぐに大人しくなった。
「おまえ… ナニモンだ?」
組み敷かれた男は、悔しげに唸った。
「飛○御剣流の継承者でこざるよ。オロロ」
「ゾンビの次はソレ!?
なんで嘘ばっかつくの!?」
ソージはまた笑った。
今度は楽しげに笑った。
笑って、咳き込んで、横を向いて血を吐き出して。
それでも楽しげに言う。
「じゃ、まじな話。
俺、労咳なンだよねー。」
「っ!?」
男が息を飲んで硬直した。
誰だって知っている。
労咳は空気感染する死病だ。
「…ソレも嘘なンだろ?」
男は地面に落ちたソージの血を凝視しながら、震える声で呟いた。