花の名は、ダリア
「カシラ? オメェらのカシラ?
ソレ、人間なの?
ジミヘンが作ったっていう、究極の生命体とかじゃねェの?」
MAN WITH ○ MISSIONか。
「狼男じゃねェよ。
ペロンと英詞歌ったりもできねェよ。
カシラは…
人間だった、はずなンだ…」
男はブルっと身体を震わせてから、低い声で語りはじめた。
男たちは以前から様々な犯罪を繰り返しつつ、各地を転々としていたらしい。
当時、カシラは人間だった。
そしてこの地に辿り着き、女を誘拐して売り飛ばす稼業を始めた。
その時もカシラは人間だった。
だが数ヵ月前、突然カシラはおかしくなった。
攫ってきた女を殺しだしたのだ。
首を裂いて、血を吸って。
妙な趣向に目覚めたモンだと、手下の男たちは笑った。
本当は恐ろしかったが、誰も何も言わなかった。
カシラの趣向は日に日にエスカレートし、血を吸われる女も日に日に増えた。
いちいち埋めていられる量ではなくなり、大きな穴を掘って死体を投げ入れるようになった。
そして最近、手下たちは気づいてしまった。
死んだ女の一部が、不自然に欠損していることに。
喰いちぎられていることに。
もう趣向だなんて笑っていられなくなった。
心から恐怖し、誰も何も言えなくなった。
カシラを人間だと思えなくなった…