花の名は、ダリア

そして…

ダリアは彼らの間に立っていた。

女たちを守るように、カシラの前に立ちはだかっていた。

片手で被っていた風呂敷を取った彼女が、目を見開いてソージに問いかける。


「どうしてココに?
危ないじゃない。
その血は?ケガ?」


「コレは仕様です。
てか、危ないのは貴方のほうですよ!」


顔を顰めて怒鳴ったソージは、カシラの後頭部に向けて持っていた日本刀を飛ばした。

カシラが振り返る。

鋭い刃は、真っ直ぐ彼の眉間に…

刺さらなかった。
カシラがゴローを振り上げ、飛来する刀を叩き落としたから。

って、嘘ぉん。

いくら大柄だからって。
いくら喰われたゴローの体重が減ってるからって。

人一人、片手で振り回せるモンなの?

スマヌ師匠かよ、クソが。

お返しとばかりにカシラが投げつけてきたゴローを横っ飛びに避けたソージは、そのまま床を転がりながら逃げた手下が落としていった刀を拾った。

立ち上がると同時に素早く鞘から抜き放ち、姿勢を低くしてカシラの横をすり抜ける。

その瞬間、確かに膝を斬った。
骨まで達した、硬い手応えもあった。

なのに…

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