花の名は、ダリア
殺りようがあるなら、殺れる。
刀を支えにソージはゆっくりと立ち上がった。
黒い瞳に焔が宿る。
だが、ダリアの言葉で火が点いたのは、ソージだけではなかった。
「不…完全ンンだとォォォ?」
濁った目にほんの少しだけ正気の光を取り戻したカシラが、首をガクガク揺らしながら喋りだした。
「俺はァァ究極の生命体にィィ
生まれ変わったンだァァァ…
完全体なンだァァァ…
死なないィィィ… シナナァァイィィィ…」
やっぱジミヘンに作られたンじゃねーかよ。
涎を撒き散らして不自然に揺れるその姿には、もはや人間味の欠片もない。
リアルホラーに耐えられなくなった女たちの集団から、一際高い悲鳴が上がった。
腰を抜かす女。
泣き叫ぶ女。
そして、狂ったように走り出した女が二人…
「ダメ!」
ダリアが鋭く叫ぶのと、逃げる餌に反応したカシラが太刀と脇差しを抜くのは、同時だった。
ソージが、走る女に足を引っ掛けて転ばせる。
そして、その頭上を盛大に空振った脇差しを持った、カシラの腕を斬り落とす。
これで一人目の女は無事。
二人目は…