花の名は、ダリア
耐えきれずに、ソージは目を閉じた。
自分を神と崇める者を殺し、自分をバケモノと罵る者を救う。
それは、いったいどんな気持ちだろう。
イヤだな。
イヤだな。
悲しすぎるな…
「どうしたの?」
もうバカ笑いしていない、ソージのよく知るダリアの声がした。
自分に対する呼び掛けかと思って、瞼を上げてみるケド…
ダリアは傍にいない。
それどころか、コッチを見てもいない。
彼女は落ちてきた天井板と瓦の山の前にしゃがみこんでいた。
隣には、裸足のちっちゃいのがもう一人、しゃがみこんでいる。
全員逃げたわけではなかったのか…
「ゴローが…」
そのちっちゃいのが、幼い声で呟いた。
ゴロー?
ゴロー、死んだよ?
カシラに喰われて、真っ先に死んだよ?
「ウチの犬が、この下に…
死んじゃったかなァ…」
犬、て。
犬と同じ名前、て。
つくづくカワイソーな奴だよ、ゴロー。
‥‥‥って、ん?