花の名は、ダリア
Ⅷ
…
…
…
えええええぇぇぇぇぇ!?
ちょっと待てぇぇぇい!!
「ちょ、待っ…ゴホゴホっ
俺、『おにいさん』だからゲハゲハっ」
ソージは必死で叫んだが、孫に聞こえたかどうかは不明。
仮に聞こえていたとしても、意味が通じたかどうかは不明。
ハイ、残念。
って、なんだコレ。
最初から最後までゾンビじゃねェか、クソが。
憮然としながらダリアを見上げる。
すると途端に、ソージの胸から不平不満が消え失せた。
彼女が、まだ暗い扉の外を見つめて、微笑んでいたから。
頬にエクボを作って、あどけなく微笑んでいたから。
あぁ…
コレ、コレ。
こんな彼女が見たかったの。
ほら、やれば出来ンじゃねェか。
バーサンに孫を返せた。
ダリアの可愛い笑顔が見られた。
俺、グッジョブ!
ソージは、満ち足りた気持ちで大きく息を吸い込んで…
「ゴホゴホっ
ゴボォっ!」
真っ赤な血を吐いた。