花の名は、ダリア
「いやいや…
夢だろ?」
ソージは再び、半笑いで言った。
けれど再び、否定される。
「夢じゃないったら。
ソージの病気は治ったの。
でも…」
まじかよ。
そー言や、咳も出ねェな。
本当に夢じゃないのなら、これほど嬉しいことはない。
だがダリアは、長い睫毛を伏せて俯いた。
まるで赦しを乞うように。
「その代わり、私に呪われた。
ソージは私と同じバケモノに…
ヴァンパイアになったのよ。」
「…
えーっと…
つまり、死なない?」
「…ごめんね?」
その姿と同様、消え入りそうな声でダリアは言った。
彼女は後悔しているのかも知れない。
永遠の生を…
自らが一番よく知る苦しみを、ソージに与えてしまったことを。
けれど…
何を悔いることがある?
何を謝ることがある?
「そんな顔しないで?
コッチに来てください。」
ソージは俯いたままのダリアを優しく手招いた。