花の名は、ダリア
すると彼女は…
迷うように軽く唇を噛んでから、おずおずと近づいてきて。
ソージの前に、膝を抱えてしゃがみ込んで。
しなやかな指で髪を右耳にかけて、上目遣いで、ハイ、一言。
「怒った?」
『死なない』とか、ねェわ。
余裕で萌え死ぬわ。
その可愛さ、神レベル。
彼女の表情一つで、彼女の仕草一つで、彼女の言葉一つで、きっと世界は終わりもするし始まりもするだろう。
ソージは衝動のままダリアの華奢な腰に腕を回し、胡座をかいた膝の上に横抱きに座らせた。
「どうしてダリアが謝るンです?
俺が望んだコトなのに。」
目が優しげに細くなり。
唇が美しい弧を描き。
ソージが微笑む。
「ありがとう、ダリア。
この先…
俺だけが、永遠に貴方の傍にいられるンですね。」
一見、純真な乙女と見紛うばかりの柔らかな笑顔。
けれどその瞳の奥には、獰猛な熱が潜んでいた。
そんなことなど知る由もないダリアは…
「うん!
よかったわ、ソージが怒ってなくて!」
本物の、純真さの結晶のような笑顔で頷いた。