花の名は、ダリア
キューケツキ?
ナニソレ?
オイシィの?
時は明治初期。
この国で『吸血鬼』という存在が広く知られるようになるのは、もう少し先の話。
そりゃわかるワケねェよ。
頭上に大量のクエスチョンマークを飛ばすソージを見上げるダリアの瞳が、悪戯そうに煌めいた。
「ハーイ、ダリア先生の『ヴァンパイア講座』を聴きたい人ー?」
ンだよ、その茶番は。
でも、とりあえず乗っとくか?
「は… ハーイ?」
「よろしい。
では、始めます。」
若干顔を引きつらせながら片手を挙げたソージに、ダリアは得意満面で頷いた。
「ヴァンパイアとは、人間の血を吸う不死のバケモノです。
ここで問題。
ヴァンパイアに血を吸われた人間は、どーなるでしょーか?
ハイ、ソージくん。」
「え…と…
ヴァンパイアになる?」
「ブーっ 違います。
答えは『貧血になる』です。
オプションとして、血を吸われた前後の記憶を失います。」
貧血、て。
案外フツーだな、おい。