紅色の瞳
「かつてわしも部隊の一人だった。」


「一太はもともと体が弱くてなある時医者に余命あとわずかだと言われた。だ


けど一太には結婚間近の女性がいてさらにその女性は赤子を身ごもっていたん


で一太の幸せを考えなんとか助けてやりたいと思ったんだ。それで当時吸血鬼


に変化したばっかりの罪を犯したひよっ子に罪を見逃す代わりに一太を救って


欲しいと頼みこんだんじゃ。」


「息子の為にそこまで。なんて健気なの。」


「何を言っとるんじゃ一太は君の父親ぞ。」


「えっ。」


「一太が変化するとき湖月幸斗(こつき ゆきと)という新たらしい名前を与え


た。」


「それより條島由依の死について知りたくてきたんじゃろ。」


「はい。條島さんの霊はあなたに聞けば分かると言ってました。」


「ふむ。いかにもじゃ。」


「さっき一太はハンターになりたがっていたと言ったの。」


「人間の時ハンターになりそこねた一太は変化してから人間との間に何人かの


混血児をつくって自ら部隊を結成しようと考えたんじゃろ。普通の人間よりも


混血児の方が力があるからの。」


「私の他にも混血児がいるの。」


なんて事だろう。私の父湖月幸斗は混血児の部隊をつくるためだけに母に近づ


いたのかもしれない。だとすれば母の死は無駄死にだったことになる。 


私は父に会って事の真相を知りたいと思った。


「父親に会いたいんだけど。」
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