紅色の瞳
だけど2回目も失敗に終わった。


私を抱きとめている女の子は私より背丈が低く身体つきもほっそりしているの


に逃げられない。


そうか同じ混血児なのに私はこの細身の女の子より力が劣っているのか。


「どうして私達と違って吸血鬼の血の力が劣っているのだろうかって顔をして


るわね。」



ベリーショートの女の子は私が思っていることを代弁するかのように口を開い


た。


「私達は必要な分だけの血を病院から頂いてるけど…貴方は毎食分銀を溶かし


た血を飲んでいるでしょう。そこに力の差が生じるのよ。」


「何でそんな個人情報を知ってるの。」


「貴方の事調べさせてもらったからよ。」


「それより私達の仲間になりなさい。」


ベリーショートの女の子が少しきつめに言う。


「何度も言うけどあなた達の仲間にはならない。」


「なぜそんなに拒否するの。私達の仲間になったら貴方の持つ本来の力を人の


為に使えるのよ。それって素敵なことじゃない。」


「こいつを説得したって時間の無駄だ。」


後ろから猪崎の声がした。


恥ずかしながら私は猪崎は自分のピンチを救ってくれるんじゃないかと思っ


た。


そう考えると猪崎がいるのが心強く思えてしまうのだ。


「貴方は混血児愛璃亜の血が欲しくて欲しくてたまらない吸血鬼の猪崎玲音


じゃない。」


「随分と愛璃亜の事を調べたんだな。身辺情報まで。」


猪崎が皮肉っぽく返す。






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