紅色の瞳
             ー12年前ー



軽井沢にある大伯父さんのコテージに遊びに行った時。あの日はとてつもない


雷雨だった。夜中、なかなか眠れない松華と私は、トイレに行こうとベットか


ら出たんだけど不気味な肖像画の目が動いたり。いるはずもない少女の声が聞


こえたり、ここまでは松華も体験したこと。でも私が見たり聞いたりした事は


これだけじゃなかった。誰かの影がすぐ横を通り過ぎた気がして、私はすぐに


その影を追っかけて、雷雨の中外に飛び出した。誰か私が外に出るのを止めて


くれるかと思ったけど、松華は肖像画にビビってソファにうずくまっていた


し、他のみんなは寝ていたから誰にも気付いてもらえなかった。


雨風に打たれ謎の影を追って行くうちに深い森の中に入った。突然寒気がし


た。雨のせいではない。何かがいる。襲われそうだ。私は走った。無我夢中で


「痛いよー。」


石ころにつまずいて転んでしまった。膝をすりむいてる。暗いし、怖いし、こ


こがどこだかも分からない。


「もうダメだ。」


外になんか出るんじゃなかった。


でも後悔しても遅い。


「ねぇあんた大丈夫。」


泣きそうになった時、手を差し伸べてくれたのが一人の青年だった。 その青


年はコテージの近くまで連れて行ってくれた。


「愛璃亜ちゃん。」


松華と伯母さんが探しに来てくれたみたいだ。




 
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