紅色の瞳
       <7月23日・猪崎が編入して来て48日>

「愛璃亜起きて。」


朝。叔母さんが私を起こしに来た。


「まだ朝の6時だよ。」


私は目をこすって時計をチェックする。


「愛璃亜も引っ越しの準備して。今日の夕方にはここをでる。」


「引っ越し?何で。」


「もうここに居られないの。」


「どういうこと?話しが見えない。」


「ハンターに見つかった。ここから離れなくてはいけない。」 


「なんでハンターが関係あるの?」

「あなたは乃愛のお腹の中にいる時からハンターに狙われていた。」


「どうして私がハンターに狙われるの。」


「それは吸血鬼と人間の間に産まれたこの世にいてはいけない存在だから。」


「でも急に引っ越しなんて。私引っ越しなんてしたくない。」


やっと猪崎と心が通じ合えたと思ったのにここを出て行かなくては行けないな

んて。世間とは酷いものだ。


「ダメよ。乃愛と約束したのよ守りぬくって。」


母は父のことをどうしょうもなく愛していたんだ。今なら母の気持ちが痛いほ


どわかるよ。どうしても父を愛した証を残したかったんだね。


「叔母さん。最後に会いたい人がいるんだ。会いに行ってもいいよね。」


「ダメよ。外出はさせられれない。ハンターに見つかる可能性があるから。」


最後に猪崎に別れを告げることも許されないの?


「じゃあ荷物、まとめるね。」


私はしぶしぶ引っ越し用の荷物をまとめはじめる。


「じゃあ頑張ってね。」


叔母さんが部屋を出て行くのと入れ替えに部屋のドアをノックする音が聞こえ

た。





















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