紅色の瞳
私は学校の門の前で猪崎を待っていた。5分ぐらい待って猪崎はやって来た。


「話って何。」


「私…引っ越すことになった。」


「引っ越す?」


「叔母さんがハンターに見つかったからここを出るって。」


「だったら外を出歩くのまずいんじゃ。」


「どうしても伝えたいことがあったから。」


「猪崎玲音…好きだ。」


実際言葉に出してみると恥ずかしい。


「それを言うためにわざわざ。」


猪崎は私を抱きしめた。痛いぐらいにぎゅっと。


私はそれに応えるように猪崎の背中に腕を回した。


猪崎の顔が私の目の前にある。猪崎の冷たい吐息が頬にかかる。


私の心臓がドキドキなってる。


猪崎は私を抱きしめたまま離そうとしなかった。


私も猪崎の背中に腕を回したまま解かなかった。


私達は1分ぐらいずっと抱き合ってた。


「仲のよろしいことね。」


女の子の皮肉めいた声が聞こえて猪崎が腕を解いた。


声の主は藤鈴子だ。


どうして私のいる所に藤鈴子は絶妙なタイミングで現れるのだろうか。


「あなた達は離れ離れになりたくない。だったら私達と一緒にハンター退治し


ようよ。私達も危険だからここは同盟を組むのよ。」










< 65 / 83 >

この作品をシェア

pagetop