紅色の瞳
不穏な空気

             




         <6月15日・猪崎が編入して来てから9日>


【墓場】




「お母さんの好きな花を持ってきたよ。」


私はお母さんの眠っている墓にイワカガミを置いた時


突然、寒気がした。こっちに何かが近付いてくる足音が聞こえる。


私は走った。だけどその足音はだんだんこっちに近づいて来る。


何かが木の枝に引っかかってる。私が赤ちゃんの時からお守りとして身に着け


ているネックレスが引っかかっていたのだ。伯母さんに絶対に外しては行けな


いと言われていたけど私はそれをひちぎって逃げた。今は命の方が大事だ。 


足音が消えたと思って振り返ってみると人が1人倒れていた。怖くなったので


引きちぎったお守りはほったらかして家に帰った。



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