Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「なぁ、拓海。」
先生が笑う。
その光景を俺は一生忘れない。
「人生ってさ、いつ終わりが来るか分からないもんだ。
俺だってそうだ。ずっと続くと思ってた日常がイキナリ終わりを・・・ここまで、ってラインを引かれてさ。」
俺の右手をギュッと握って。
「後悔だけはして欲しくないんだ。・・・お前に。」
自然と涙が零れた。
「実力を持ってるくせに、周りに反発して思ってる事とは違う方に進もうとしてる。
医者になれって言ってるわけじゃ無いと思うぞ、お前の親父さん。
お前のやりたいことを見つけてがんばって欲しいんだと思う。」
背中を押そうとしてくれてるのがわかった。
先生なりの、エールなんだってことぐらい分かる。
「頑張れ、拓海。俺はお前を信じてる。」
その笑顔は何年経っても消えない。
その数日後、先生が息を引き取った。