Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「長内くん…」
「あ、じゃあさ。ものじゃないんだけど。」
そう言って杏の唇を指でなぞる。
「俺のこと、名前で呼んでください。」
…え?名前?
「俺は最初から”杏さん”って呼んでるのに、杏さんは俺を”長内くん”って呼んでるから。
いつまでも苗字呼びされてたら、彼氏って実感がなくなっていくよ。」
困ったみたいな笑顔でそんな風に言うから…ずるい。
またドキドキしちゃう。
「た…たく、拓海くん。」
「はい、もう一回。」
「拓海くん。」
こんなに恥ずかしいこと⁉︎
過去にも経験がないくらいに恥ずかしい。
「嬉しいな。杏、真っ赤だよ。」
彼の指が頬を撫でた。
こんなにドキドキさせる人だなんて思わなかった。
眺めているだけの毎日ではわからなかったこと。