Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜

「お願いします。」

手渡した時に、その女性店員がふわりと微笑んだ。


「彼氏さん、喜びますね。あ、もう彼氏さんじゃなくて婚約者さんかな?」


そんな言葉に不思議に思っていると。


「素敵な指輪。羨ましいです。」


「あ!あ、はいっ、あの、婚約とかじゃなくてっ、あの、彼が」

慌て吃る杏の背中を押して、藍が口を開く。


「この子の彼氏って凄くヤキモチ焼きなの。だからね、虫除けも派手にしてるのよ。」


サラリとそう話す藍をチラ見し俯く。

・・・なんで上手く話せないのかな。


すぐにつっかえて、しどろもどろ。


「でも素敵ですね。指輪で虫除けだなんて。」


再び女性店員の声がして、ハッと顔を上げる。

「あ、ありがとう。」

とりあえず頭を下げた。
< 115 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop