Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「お願いします。」
手渡した時に、その女性店員がふわりと微笑んだ。
「彼氏さん、喜びますね。あ、もう彼氏さんじゃなくて婚約者さんかな?」
そんな言葉に不思議に思っていると。
「素敵な指輪。羨ましいです。」
「あ!あ、はいっ、あの、婚約とかじゃなくてっ、あの、彼が」
慌て吃る杏の背中を押して、藍が口を開く。
「この子の彼氏って凄くヤキモチ焼きなの。だからね、虫除けも派手にしてるのよ。」
サラリとそう話す藍をチラ見し俯く。
・・・なんで上手く話せないのかな。
すぐにつっかえて、しどろもどろ。
「でも素敵ですね。指輪で虫除けだなんて。」
再び女性店員の声がして、ハッと顔を上げる。
「あ、ありがとう。」
とりあえず頭を下げた。