Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜

「拓海くん、どうしたの?」


引きずる様に連れて行かれたのは、会社ではあまり使うことがない非常階段の踊り場。


「あ、ごめん。仕事の邪魔して・・・。
あのさ、クリスマスなんだけど。」


真っ直ぐに見つめてくる彼をみて、あ、約束するのかな、なんてドキドキしながら思っていたら。


「ごめん、大学の仲間と最後のスキー旅行に行くのと日にちが被って・・・」


・・・え?


り、旅行・・・?


「ごめん、必ず埋め合わせするから。
今回が最後だから、皆で行こうって話になってて。」


なんだ・・・そっか。
クリスマス、イブも当日も、結局はひとりぼっちなんだ。


「ごめん。」

「あ、うん、いいよ、気にしないで行ってきて。お土産楽しみにしてる・・・」


心とは違う言葉が口から零れ出た。

なんて不格好な笑顔。


「仕事に戻るね。」



背中を向けて重い扉を開ける。


まるで、自分の心の扉。
重く、閉ざされてしまった気持ち。

< 119 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop