Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「拓海くん、どうしたの?」
引きずる様に連れて行かれたのは、会社ではあまり使うことがない非常階段の踊り場。
「あ、ごめん。仕事の邪魔して・・・。
あのさ、クリスマスなんだけど。」
真っ直ぐに見つめてくる彼をみて、あ、約束するのかな、なんてドキドキしながら思っていたら。
「ごめん、大学の仲間と最後のスキー旅行に行くのと日にちが被って・・・」
・・・え?
り、旅行・・・?
「ごめん、必ず埋め合わせするから。
今回が最後だから、皆で行こうって話になってて。」
なんだ・・・そっか。
クリスマス、イブも当日も、結局はひとりぼっちなんだ。
「ごめん。」
「あ、うん、いいよ、気にしないで行ってきて。お土産楽しみにしてる・・・」
心とは違う言葉が口から零れ出た。
なんて不格好な笑顔。
「仕事に戻るね。」
背中を向けて重い扉を開ける。
まるで、自分の心の扉。
重く、閉ざされてしまった気持ち。