Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「行こうか。」
いきなり身体を離すと、拓海が手を差し出した。
「え?どこに?」
杏は何もなかったはずの今日の予定が狂ったことに、半ばパニックだった。
こんなことなら、プレゼント持っておけばよかった、と。
「んー、ホテルで豪華ディナー、なんて言いたいとこだけどさ。
まだまだ学生の身だから、ここはグッと抑えて杏さんち。」
ニコッと笑う彼の笑顔が眩しい。
ここ数日間、全く見ようとしなかった自分を責めることなく笑う彼が愛おしい。
「どうしてスーツなの?」
杏の家でいいなら、普段と同じでいいだろうに。
まるで正装したかのような、その姿。
不思議に思っていると。
「ちょっとね。用事があってこの格好なんだ。晩御飯どうする?どこかで食べてから杏さんちに行くって言うのはどう?」
もちろん。
NOは言わない。