Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
(彼はサンタクロース)
久しぶりに美味しいものをお腹いっぱい食べた。
そういう満足感に至福を感じる。
繋がれた手のひらから伝わるぬくもり。
そこから幸福感を感じる。
こんなに幸せでいいのかな。
なんて。
ひとり照れ臭くて俯き歩く。
一歩だけ先を歩く拓海の背中をチラリと盗み見る。
広い背中。
逞しくて、広くて安心できるその姿。
スーツを着ているからか、23歳には見えない。
「杏さん。」
「なあに?」
振り向くことなく、拓海は話し始める。
「今日、俺がスーツを着てるのってね、お墓参りに行ってきたからなんだ。」
・・・お墓参り。
「あ、先生の?」
「うん。報告しに。就職先が決まりました、守りたい女性がいます、って。」
・・・それで、スーツかぁ。
きっちりしてるんだなぁ、と口にはせず思うだけに止める。
「それとさ・・・あ、まぁいいや、これは杏さんちに着いてからで。」
「えー、なぁに?気になるよ、話して。」
言いかけてやめられると、気になる性分なのだ。聞きたい、問題ないなら今聞きたい。
「えー、今はダメ。つい言いそうになったけど後で。」
振り向いた拓海は優しく笑う。