Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「篠宮さん!」
名前を呼ばれハッとする。
「はいっ」
(…やばっ、仕事中だった!)
自分の名前を呼んだ上司の元へと歩み寄る。
「はい、何でしょうか、神永課長。」
「この昨年度のデータだけど。」
資料を指差す神永課長の手元は、フレンチネイルで薄いピンクの花が咲いていて可愛い。
(あぁ、いくつになってもおしゃれや乙女心を忘れちゃいけないんだ。)
「藍ちゃん、ネイル可愛いねぇ。」
・・・つい、気持ちが口から零れてしまった。
「・・・杏、今は仕事中よ。」
厳しい言葉とは裏腹に、表情は優しい。
「あ、ごめん。」
つい、いつもの感覚で喋ってしまっていた。