Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
近付いて来る彼に声も無くただ座ったままの杏。
白いバスローブ姿の彼は風呂上がりなのか、頭にタオルを被ってメガネをかけていなかった。
「杏さん?」
もう1度名前を呼ばれる。
「な・・・」
「はい?」
「なんで??」
それしか言えなかった。
夢じゃなかったの?
心の中ではそう叫んでいた。
「杏さん、覚えてないんですか?僕に抱きついてきたこと。」
フッと笑う王子様が色っぽくて卒倒してしまいそうだ。
彼のその言葉が、あれは夢ではなかったのだと教えてくれる。
ベッドに膝をつき、杏の頬に手を伸ばし軽く触れると、彼は優しく笑った。
「あなたは無自覚でやってるんですか?あんなことされて平気な奴なんていないと思うけど。」
「あ、あんな・・・こと・・・」
声が掠れる。
緊張して顔が引きつる。