Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「キス、強請ったじゃないですか。僕・・・俺に抱きついてきてキスしてっていったでしょう?」
にこやかな表情とは真逆の内容に、血の気が引く。
王子様の一人称が『僕』から『俺』に変わったことにも気付かない程に。
「どれだけ俺に我慢させるんですか。無自覚ならタチが悪い。」
そう言うと、ゆっくりと杏の腕を引っ張る。
それに任せてそのまま長内の腕の中に倒れ込む。
「相手が俺でよかったですね。」
失礼なことをしたり言ったりしただろうに、それを責めるわけでもなく、自分相手だったから無事でよかったと…優しく慰めてくれた。
(やっぱり、好き。)
自分を案じてくれていた、その優しさに益々心が惹かれていく。
「ご・・・ごめんなさいっ!」
その反対側で申し訳なくて、つい身体を離して頭を下げた。
「その・・・酔っ払って失礼なことしちゃって・・・ごめんなさい!!」
もう1度、頭を下げた。
すると・・・。
「キスしてって言ったの、嘘だったんですか?」
淋しそうに彼はそう言ったのだ。