Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「杏さん・・・」
名前を呼ばれる度に胸がキュンとする。
自分の名前がこんなに甘く響くなんて不思議だ。
「・・・居酒屋で会った女の子って・・・元カノ?」
腕枕をしてもらってるのに、こんなこと聞くかな、あたし。
そうは思うけれど、気になってしまう。
自分とは真逆の彼女。
ホントはあんな感じの子が好きとか・・・。
「気にしてるんだね。
まぁ、元カノで間違いないんだけど・・・俺はフられちゃったんだ。
はっきりしないから、って。」
はっきりしないから?
どういう意味だろう。
「付き合って、って言われて付き合い始めたけど、好きなのかどうかわからなかった。優柔不断、ってやつかな。」
胸に頬を寄せるようにして声を聞いていた。
響く声はとても優しい。
優柔不断、なのかな。
そんな風には見えない。
考えていると、くるりと天地が入れ替わる。
「杏さんに対してはそんなことないから。俺の気持ちははっきりしてる。
気にしないで、としか言えないけど・・・信じられない?」
見下ろす彼はいつも職場で見ていた王子様のまま。
「ううん、信じる。」
返事をした唇は、暖かなそれで塞がれる。
甘い時間を楽しむように、ゆっくりと。