Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「そんなに綺麗にしてないけど・・・どうぞ。」
なんだか照れくさい気もするけど、特に散らかってもないし大丈夫じゃないかな。
そう思い、スリッパを差し出す。
「お邪魔します。・・・なんかいい匂い。杏さんの香りだ。」
部屋に入るなりそんなことを呟く長内。
照れ臭くなってそそくさとキッチンに入りコーヒーを準備する。
「適当に座ってて。コーヒー入れるから。」
そう声をかけたが、返事がない。
不思議に思い、リビングを覗くと・・・。
長内はフォトフレームに入っている写真をじっと眺めている。
「やだ、恥ずかしいからあんまり見ないで!」
駆け寄りパッと取り上げる。
「あ、ちゃんと見たいのに!」
「恥ずかしいからヤダ!」
それは杏の家族写真。
まだ、亡くなった父が生きていた時のものだから何年も前のもの。