Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「杏さんの家族?」
写真を抱きしめたまま、俯く。
「パパが写ってるの、これが1番最後だから・・・」
「え?」
父はどこにでもいるようなごく普通のサラリーマンだった。
仕事の帰り道、信号無視の車に撥ねられ杏が11歳の時に亡くなった。
家族写真は亡くなる一週間前に撮ったもの。
ずっと、ずっとフォトフレームに入れて飾ってある。
「お父さん、亡くなったの?」
そっと近づき囁くように尋ねられ、小さく頷いた。
「ごめん・・・無神経なことした。ごめんね。」
ぎゅう、と写真ごと抱き締められた。