Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「ははは、別に杏を取って食おうってんじゃないから安心しろよ。
嫁がいるしさ、俺。6年振りに姿見たから懐かしくて声かけただけだ。」
食ってかかる勢いの長内を牽制するように笑いながら大佑は答える。
それに、納得したのかどうか定かではないけれど。
「杏は今、俺の彼女だ。馴れ馴れしく髪を触るな。」
強く大佑を睨む長内に、杏は驚いていた。
こんな風に嫉妬する彼を初めて見た気がする。
「お、長内くんっ、大丈夫だよ!
あたし、何にもされてないし大佑は奥さんも子供もいるんだから!」
慌てて立ち上がり彼の腕に手を寄せた。
「へぇ。」
ニヤ、と大佑が笑う。
何だろう。おかしなこと言ったかな。
「お前、この彼氏には吃らないんだな。
なるほど、納得だ。
彼氏くん、俺と杏はとっくに終わった仲だ、心配するな。
じゃあ俺は行くよ、またな、杏。
・・・幸せに。」
そう言って片手を上げ、大佑は立ち去る。
1度だけ振り向き、付き合っている時に見せたこともない様な優しい笑顔を見せた。