Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
(嫉妬と甘え。)
注目を集めてしまったカフェを早々に後にする。
先を歩く長内が、一言も声を発しない。
その大きくて広い背中を眺め、黙ったままついていく。
(・・・怒ってる?)
どうして何も言わないんだろう。
自分にだって元カノがいるくせに。
大学の友だちや元カノ達に、入れない空気を持たれ蚊帳の外にされたことだってあった。
・・・それでも杏は何も言わなかった。
寂しいと、言いたい気持ちを押し殺した。
どれくらい経ったのか。
不意に足を止めた長内が振り向かずに問いかけてきた。
「まだ好きなんですか、あのヒトのこと。」
・・・はい?
どうしてそうなるの?
問いかけに答えられずにいた。
自問自答を脳内で繰り返す。
「答えないってことはYESだと受け取っていいわけ?」
振り向いた彼は、どこか辛そうに顔を歪めていた。