Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「でも、やりたい放題してたある日。
急にあいつ髪を黒くして真面目に学校に行く様になってさ。
気付けば大学まで行ってた。
ま、浪人したけどさ。」
煙草を足でもみ消し、吸い殻を指先で摘み上げる。
そんな本橋を杏はじっと見ていた。
「族に入って遊んだのは3年間。
その後はキッチリとケジメつけて今のあいつがあるんだよ。
なんでまたあんな風になったのかは知らねぇけどさぁ。
ま、俺も感化されて真面目に働く様になったんだよ。」
杏の知らない”長内 拓海”という男の素顔。
教えてくれたのだろうか。
彼が語りそうもない、ヤンチャな時代を。
「あんたは多分、そんな拓海をみても軽蔑したり離れてったりしないだろうな。」
摘まんだ煙草の吸い殻を、携帯灰皿にしまう。
あ、この人も根は真面目なんだなぁ。
そんな風に思っていた。