Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「杏さん!龍也⁉︎」
走ってくる彼の姿が見えた。
「よぉ、拓海。何だよ、デートに遅刻かよ。」
「杏さん!何にもされてない⁉︎」
掴まれた腕が驚く程力強い。
「え?何も・・・長内くんのこと聞いてただけよ?」
「そうそう。お前のヤンチャ時代を熱く語ってただけ。」
そう言われ杏を掴んでいた手がスルリと落ちる。
「え・・・」
「え?なんだよ、内緒にしとくつもりだったのかよ。」
悪びれる事もなくさらっと言う龍也を唖然と見る長内。
青ざめた表情。
「あ、マジで?すまん、俺てっきりお前が話してると思って・・・」
長内の様子をみて、龍也は慌てて謝罪するが、俯いてしまった長内の表情は見えなかった。
「長内くん・・・あたし、嬉しかったよ。あたしの知らない長内くんを教えてもらえて・・・」
自分の知らない彼の過去。
それがどんなものであっても、杏は気にしなかった。
むしろ、知ることができて嬉しいとさえ感じていた。