Would you marry me? 〜年下彼氏と結婚するまで〜
「まさか、龍也がバラすとは思わなかった。」
ため息と共に吐き出された言葉。
不思議に思いながらコーヒーに口をつける。
「俺・・・っていうか、俺のうちね、医者ばっかりの家系なんだ。」
真っ直ぐに視線を上げ、杏を見つめる彼が何かを決意して語り始めたのだと悟る。
居住まいを正し、きちんと向き合う。
「親父なんて、いつもウチに居なくて。
母子家庭と変わらない感じだった。
家族より患者優先。それが嫌でさ。
元から母子家庭だった龍也と仲良くなってつるんで。」
懐かしむ彼の表情が一変する。
眉間にシワが寄り、険しく変化する。
「中学からは学校行ったか行ってないかわかんない生活してた。
でも、親父は世間体があるから必死に勉強させようとして。
その時に知り合ったのが”田部先生”だった。」
懐かしむ彼の表情。悲しいのか怒りなのか。浮かぶ表情からは先が読めなかった。