小鳥沢2丁目物語
「こんな事なら一緒に遅刻すればよかった」
ひとりごとを言いながら適当にギターを弾く。
なにも考えないで弾いていたら、全校応援で昼間歌ったせいか、なんとなく小鳥沢高校の校歌を弾き語りしていた。
「校歌をロックバージョンにするとかお前バカなの?」
「はっ?!」
誰もいないと思っていた公園で話しかけられて、わたしはとっさに振り向いた。
そこには、小鳥沢高校の制服を着た男子。
み、見られてた。
恥ずかしい...
「てゆうかさ、12小節目、もっと強く弾いた方がかっこよくね?」
「え?こ、こんな感じ?」
「あー、違う違う!ちょっとかしてみ」
その男の子はわたしのギターを手に取ると、わたしの何倍も上手に弾いて見せた。
「わ...じょうず...」
「そうか?ありがと」
えっ、
思わず口に出てた...。
恥ずかしい。