小鳥沢2丁目物語
片想い
あかりside
わたし、福原あかり。
この物語のなかではエキストラまでは行かずとも脇役。
ただの片想いキャラなのだ。
そんなわたしが今出会ったのは...
「あ、あの、すみません、突撃して!お怪我はありませんか?あの、なんか、スティック折れてるんじゃありませんか?」
今さっきぶつかって、目の前であたふたしてる一個上の先輩。
って、
「あーー!!!」
先輩の視線をたどると、先輩の言葉どおりわたしのドラムスティックが見事に折れていた。
部活に行こうと、ドラムスティック片手に階段を駆け上がっていたところで先輩とぶつかって転んだのだ。
そのスティック、ちょっと高かったのに...
「あの、すみません俺の不注意で...弁償しますから泣かないでください..」
「えっ、そんな弁償なんて!わたしが走ってたからですし気にしないでください!」
ほんとにわたしが鼻歌なんて歌いながら走ってたせいだから....
「それじゃあ俺の気がすみませんから。あの、俺、亀谷っていいます。3年3組です。すみませんが今急いでるので明日放課後俺のところに来てくれませんか?それじゃ!」
先輩は風のように去っていった。
かめたに先輩...
フルートの楽器ケースを持っていた。
だから吹奏楽部なんだと思う。
「...って、あたしも部活に行かなきゃ!スペアのスティック重くてあんまり良くないんだよね〜」
独り言をいいながら、わたしはまた階段を駆け上がった。