小鳥沢2丁目物語
待つこと数分。
階段からあかりちゃんと誰かの話し声が聞こえてきた。
「...ですよね」
「あー、まぁそれは...」
所々しか聞こえないけど、なぜか敬語。
先輩なのかな?
「あのスティックほんとよかったですよ叩き心地!...って、ふたりしてなんでこんなところに座ってるの?!」
わたしたちの前に現れたあかりちゃんは、小柄な男の先輩と一緒に歩いてた。
「なんで?じゃねーよ。お前が遅いの。玲も居ないから鍵ないの」
「え、もうこんな時間か。ごめんごめん、今開けるから。てかそんなに怒らないでよ、さとるらしくないなぁ〜」
あかりちゃんは拗ねたように第二音楽室の鍵を開ける。
「それじゃあ先輩、部活頑張ってくださいね!」
「ありがとう。そっちもがんばってください」
小柄な男の先輩はあかりちゃんに丁寧にお辞儀すると、第一音楽室に姿を消した。