小鳥沢2丁目物語

恋とライブと夏休み




「海青いねぇー!」



「海見える旅館で合宿とかやばいな!」



「スタジオついてるから夜まで練習し放題だからな。遊ぶ暇なし」



「玲さすが...」





こうしてわたしたちの合宿は、綺麗で海の見える「多田旅館」で始まった。





「多田さん、この楽器とかはスタジオに直行で置きっ放しでいいですか?」



つくなり玲くんはそそくさと練習への準備を始める。



「玲!まてまてはやい!俺はみんなの荷物こいつと部屋に運ぶからベース頼むな」



さとるくんはそう言ってあかりちゃんと一緒に旅館に消えていった。




「おいまゆ!そこのアンプとか自分の分だけもってあとよこして」



「えっ、ベースとかもあるのに1人で大丈夫?」



「いいから!」



玲くんは割と小柄なのに力持ち。



美人さんにそんなに持たせるなんて申し訳ない気もするけど...。






ふたりでスタジオに入ると、中は広くてドラムや機材類も割と新しくて良いものばかりだった。



こんなところで練習できるんだ...。




なんだか少しわくわくした。




いつもは吹奏楽が使ってる第一音楽室よりだいぶ質素な第二音楽室で練習してるから...。



わたしは我慢できずに早速アンプにギターをつないで弾いてみた。






こ、これがスタジオ...!




初体験!!




「玲くん...わたし、合宿頑張る...!頑張れるよこんなところ...!」



「おー、よかった。奮発したかいがあるわー」






< 33 / 55 >

この作品をシェア

pagetop