小鳥沢2丁目物語
「玲くん、ここちょっと弾いてくれない?」
「...」
わからないところがあったらとりあえず玲くんに聞くことにしてるんだけど、集中しすぎてたまに聞こえてないことがある。
そんな玲くんからはどんなにギターが大好きなのかが伝わってくる。
そんな玲くんが、純粋にかっこいい。
「わたしも頑張るかぁ」
ひとりごとを言ってわたしもまたギターを弾き始めた。
「小鳥沢高校の軽音部の方々、夕食の準備ができましたので食堂においでください」
しばらくすると、旅館の人がわたしたちを呼びに来た。
「やっとごはんだーーーー!!」
あかりちゃんは勢い良く立ち上がると、さとるくんの腕を掴んで猛ダッシュでスタジオを飛び出した。
「ほんと仲良いなあいつら」
玲くんは苦笑い。
わたしもつられてえへへって笑ってみた。
...羨ましいなぁ、好きな人に好きって言えるの。
わたしも、こんなに近くに居るのに...。
玲くんのほうをちらっとみると、「ん?」って首をかしげてきた。
か、可愛い。
「こういうところだよねっ!!」
こんなんで好きにならないほうがおかしいから!!!
「ちょ、まって、なにがだよ?!怒ってんのか??」
「なんでもないよっ!ご飯いこ!!」
わたしもあかりちゃんの真似をして玲くんの腕をひっぱってスタジオを後にした。