小鳥沢2丁目物語
ギタリスト
「まゆさん、体験入部に来てみない?」
登校するなりわたしの目の前に現れた知らない人。
「...なんの?ていうか誰?」
「軽音部!ていうかヒドイ!」
彼の話を聞くと、彼はわたしと同じクラスらしく、軽音部の部員でもあって、軽音部は今部員が3人。
ギターがひとり足りないからやって欲しいらしい。
「ご、ごめんなさい。クラス替えしてまだ1ヶ月で女子の名前しか覚えてなくて...」
「まあ、きみ、顔も覚えてなかったみたいだけどね?」
うっ...
まあ仕方ない。
改めて、彼の名前は伊藤さとるくん。
背が高くて肌が黒いことが特徴。
わたしはさとるくんのことを覚えていなかった申し訳なさで、とりあえず見学だけしてみることにした。