私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「彩~!助けてよ。」
「何でも手伝うから言ってよ!!」
お盆休みの最後の土日を、
どうして会社の行事に使わなきゃいけないんだろう。
彼氏のいない私は特に予定もないけどさ。
「お前と幹事なんて、マジ…大変そう。しっかり頼むぞ!」
柳本龍平、体も心もちっちゃい奴。
『俺に任せろ!』なんて言えないダサい男。
ほんとに、理想とかけ離れた奴。
「今日、仕事終わってから時間ある?テニスできるペンション探そうと思うんだけど…」
どうして金曜の夜に、龍平と2人で会社に残んなきゃいけないの?
私は、まだ着こなせていないダサい龍平のスーツ姿にイライラしながら答えた。