私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「あ~!!今日無理!私、テニスできるペンション知ってるから、そこでいいでしょ?」
2年前に友達と行った軽井沢のペンションは、
テニスコートが4面あって、広くて綺麗だったような気がする。
「ペンションの名前は?」
もう部屋から出ようとしている私に声をかける龍平に、背中を向けたまま怒鳴る。
「もうペンションは私に任せといてよ!あんたは、集合場所とかバスの手配とか、夜の宴会のこととかいっぱい考えることあるでしょ!」
少し言い過ぎたかとも思ったが、
どうも龍平と話しているとこうなってしまう。
「ちょっと待てよ!」
キムタク風に呼び止められたことに、
またイラっとして、私は無視して扉を閉めた。